『それでも花は咲いていく』 前田健
#71/2010.04.02
幻冬舎
★★★★☆
1365円/P265
あらすじ(「BOOK」データベースより)
神様─。
僕は病気ですか?僕はゴミのように燃えてなくなればいいですか?
たとえ人は変態と言おうが、それでも花は咲いていくのだ。九つの花に託された九人の人間、それぞれの衝撃的な性的魂の行方とは。タレント前田健による処女小説。
****
タレントの前田健さん(一時期あややのモノマネされてましたよね^^;)の処女作です。
これはるるる★さんが読んでらっしゃって、「マエケン」の処女作!?と気になったので読んでみました。
興味本位で読み始めたものの、こ、これは…Σ(●゚д゚●) !
もう、軽~くタレント本の域を超えてます。
マジでガチンコ気合の入った作品集です。
内容としては9つの短編集でロリコン・二次元コンプレックス・マザコン・同性愛・マゾ・老け専などのセクシュアル・マイノリティにまつわるストーリーが収められています。それぞれ、タイトルも花の名前を関していて、“9つの花に託された9人の人間”のお話です。
そもそもマエケンさんが小説を書いて世に出すきっかけとなったのは、2年位前に番組企画でショートストーリーの小説を書くという企画があり、その際に出版社の人からのオファーがあったというエピソードがあったから、だそうです。
又聞きなので、それが本書を出すきっかけとなったかは不明ですが、出版社の人のオファーがあったということはきっと才能が垣間見えたからなんでしょうね~。
この本のタイトルの意味を汲み取ったとき、深い読後感にとらわれました。
今までここにUPしてきたなかでも中山可穂さんの「白い薔薇の淵まで」もセクシュアル・マイノリティ(この場合は俗にいうビアン小説)の話でしたが、本書はより幅広い意味でのセクシュアル・マイノリティに関して描かれています。
性的マイノリティーは特に日本では忌むべきものとしての(もしくは避けるべきもの)認識が強かったためか、あまり語られることが少ないように思います。それ故に間違った認識も多く、理解も得られ難い。圧倒的といってもいいくらいに差別されがちです。
マエケンさん自身もそのセクシュアル・マイノリティを抱えたうちの1人。
そこも中山さんと共通するところです。
ただし、マエケンさんの場合はそれを多方面から果敢にアプローチし、自らのセクシュアル・マイノリティのみに留まらず、様々なセクシャリティを圧倒的な筆力で書き出しています。視点を真正面からだけで捉えるのではなく、前後左右、あるいは斜めと少し角度を変えることでまた別の物語が出現してきて、引き込まれます。
ここまで書くと、まるで性愛小説のようなイメージを持たれた方もいるかもしれませんが、そうではないのです。
ちなみにそういった描写は私が覚えている限りではほぼ出てきませんでした。
内に向かっての(つまりはココロや精神です)話ですので、性描写が苦手な方もご安心ください(笑)
モチロン、私自身もロリコンなんかには拒絶反応に近いものがありますが、読んでしまえばその心の葛藤と絶望・悲しみといったものだったりのココロの襞の繊細さに目を見張りました。
自分のセクシュアリティに悩み・傷つき・傷つけられながらも、必死に前へ進もうとする彼らに胸打たれます。
これは是非、たくさんの方に読んでいただきたい作品です。
収録作品
エーデルワイス
ダリア
ヒヤシンス
デイジー
ミモザ
リリー
パンジー
カーネーション
サンフラワー
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