『そして粛清の扉を』 黒武洋
#9
2010.01.14
★★★★☆
新潮文庫
P385
580円
第一回ホラーサスペンス大賞受賞
![]() | そして粛清の扉を (新潮文庫) (2005/01) 黒武 洋 商品詳細を見る |
あらすじ
卒業式を翌日に控えた高校で、突如として発生した学校ジャック事件。
武器を手に、生徒を人質にとったのは、普段は目立たない中年女性教諭だった。
彼女の周到に練られた計画と驚くべき戦闘力は、対峙した警視庁捜査第1課の精鋭「特警班」さえをも翻弄する。焦燥し、混乱する警察、保護者を前に、一人また一人と犠牲者が…。
第一回ホラーサスペンス大賞を受賞した衝撃の問題作。
****
以前から気になっていた1作。
ただ、こちら絶版のため書店では購入できないことが判明したので、急遽オンライン書店の古本屋さんで購入しました。
この時初めてオンライン書店を利用したんですが、世の中便利になってますね~
普段電車通勤の自分としては、たかが文庫とはいえ、1冊ならまだしも数冊まとめて購入(しかも無計画)することがままあるんですが、帰りの道中の重さったら…!
そんなこんなでオンラインで購入して家まで宅配してくれるとなれば、重さなんて気にせずに思う存分買いあされるので、最近は結構利用頻度があがりつつあります。
でも本命はあくまでもリアル書店にあるので、あくまでもキープです(笑)
やっぱり本命のあの匂いと、独特の雰囲気はリアルでないと味わえないですから^^
本題にもどりますが、この本を読了したときの感想は「すごい」の一言でした。
続きが気になって仕方ない。冒頭から怒号の展開で進むし、スピード感があって目が離せない状況が終盤まで続いていきます。そして思わず、「ヤラレタ!」の展開で幕を降ろすのは見事でした。
なんだか思わせぶりな終わり方が気になって、久しぶりに読後も気になってしょうがなかったです。
ただ、この本を読むにあたっての注意点が。
細かい設定を気にしてはいけません。
この一言に尽きます。
結構設定なんかが受け入れられないとこれを読み進めるのは厳しいと思います。
私は結構そのあたりがアバウトな人間なので大丈夫でしたが(笑)
最初は自分も気にしていたんですが、途中で考えることを放棄しました^^;
まずは、読んでみよう。読んでから考えよう、と。
するといつの間にかうねりの効いた波に飲み込まれて考える暇はなくなりました。
バトルロワイヤル的な要素もあるので、こういうのもある程度受け入れられるよ~って方にはオススメします^^
この作品の最もホラーなところは「人質である生徒たちのほうが淡々と犯行を犯してゆく犯人のほうがよっぽど正常にに思えてきてしまう」ところ。
多分、真髄もこの辺りにあるんだと思います。
そして出来ることなら再販されることがあるならば、人物表記を入れて欲しいです~
なんせ、人質の生徒役30名を含め、警察や関係者を入れると人数が多く、把握しきれないところもあってそのたびに記憶を手繰らないといけないんですもん^^;
漢字表記が多い(しかも普段は常用しない漢字)ため、慣れるのに多少時間はかかりますが、それも最初のうちだけでしたが。
先ほども少し触れましたが、バトルロワイヤルのような趣がありましたがそれよりももっと深いメッセージが込められているような気がします。
そして、解説で語られていた、小説=著者が言いたいこととは限らないという一説がとっても印象深かったです。
著者の黒武さんはもともと脚本家であり、演出家でもあるそうでもともとこの小説も映画のシナリオとして考案されたとあって、視点もそういったものが多用されていたのがまた良かったのかも知れません^^
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2010.03.10 | Comments(3) | Trackback(0) | 黒武洋