『償いの椅子』 沢木冬吾
2009.12.23
角川文庫
P596
860円
![]() | 償いの椅子 (角川文庫) (2006/10) 沢木 冬吾 商品詳細を見る |
あらすじ
5年前、脊髄に銃弾を受けて能見は足の自由を失い、そして同時に親代わりと慕っていた秋葉をも失った。車椅子に頼る身となった能見は復習のため、かつての仲間達の前に姿を現した。
刑事、公安、協力者たち。複雑に絡み合う組織の中で、能見たちを陥れたのは誰なのか?
そして能見の5年間を調べる桜田もまた、公安不適格者として、いつしか影の組織に組み込まれていた。
彼らの壮絶な戦いの結末は…?
****
以前から気にはなっていた、この小説。
でもなんだか自分には敷居が高そうだと勝手に思い込んで読まずじまいでした。
一言で言ってしまうとハードボイルドなんだけど、その内は家族小説でもあり、ミステリ要素もありの盛りだくさんの内容でした。
読み始めは登場人物も多く、把握するのに手間取るし疲れもしたんですが、それでもなぜか能見という人物から目が離せなかったんです。
果たして実際に現実問題として車椅子生活をしている能見が物語通りにあそこまで出来るのかといえば疑問なんですが、能見ならば無理を承知で実行してしまいそうな気がするから不思議。
車椅子生活以前の彼も知りたくなってしまいました。
自分の弱さ・弱点も知りながらも向き合い、それに立ち向かっていく彼に惹かれて読み進めました。
また彼の家庭事情も複雑で読んでいて痛々しくなってしまう場面もしばしば。
読んでいて辛いけれども、そんな中でも前を向いて進んでいく少女やそう少女のことを想う弟にも多少の救いが残されていてホッとしました。
ラストはまさに怒号の展開で息をつく暇もないほどの勢いで衝撃的でしたし、読後はなんとも言いがたいさざ波が繰り返すようにラストシーンを振り返って考えてしまいました。
全体的にダークな余韻を残す小説ですが、読んで損はないと思います。
↓ランキング参加中です。よろしかったらポチッと押してやって下さい(・∀・)
本・読書人気ブログランキング
にほんブログ村 おすすめ本
にほんブログ村 読書日記
スポンサーサイト